カルチュア通信116号 2023年4月6日

桜の花が、散りかける中、四年振りに庁舎横の「桜まつり」がにぎやかに行われました。これでやっと日常の生活が戻ってきたことを実感しております。私も和太鼓の音に誘われて、買い物がてら、散策させて頂きました。幾人かの卒業生に出会うことが出来、あらためて心のゆとりを取り戻した感があります。

夕刻には、卒業生からラインで大学卒業と入社の挨拶に伺いたいとの嬉しい知らせ。兄弟三人が通ってくれましたので、男のご兄弟二人お揃いで見えられました。さらに、バイト先で出会った卒業生が偶然にも、塾の卒業生。その卒業生をお呼びしての歓談が、なんと素晴らしかったことか。

先ほど、次なるメイルを頂きましたので、原文のままここに掲載させて頂きます。

「本日は、急に連絡してすみません!社会人になる前に保坂先生に挨拶したかったので、連絡させて頂きました。ご飯からビールまで御馳走様でした。とても楽しい時間でした。
保坂先生には、中学時代、努力することの大切さを教わりました。 江戸川高校には行けなかったですが、後悔がないくらいやりきることが出来ました。入試当日の夜、◎付けをして絶望している時に、ご飯に連れて行って元気づけて下さったこと、大学入試直前に国語を付きっ切りで教えてくださったこと、いろいろな思い出がありますが、明日から社会に出る自分の、人間としての礎は、この塾にあると思うので、カルチュアセンターの卒業生として恥じない社会人に、そして学んだあの時間を誇りに思い、明日から駆け抜けていきたいと思います。 ほんとうにきちょうなじかんありがとうございました!」

嬉しい出会いと返信のメイルを受け取る中で、ふと目を止めたスマホの画面には、悲しい知らせが届いておりました。世界的音楽家、坂本龍一氏死去の報。音の世界を活動の拠点として、世界の平和と原発廃棄を願っていた貴重な音楽家でしたから。同じ考えを持つ人が亡くなることは、世界の人口八十億人から考えるならば、取るに足らないことかもしれません。けれども平和を真から志向する影響力ある人がこの世を去ることは、その影響力に思いを馳せる時、事の重大さに気付かざるを得ません。数日前には、ノーベル文学賞受賞者の、大江健三郎さんを失ってしまいました。広島ノート、沖縄ノートを書き、その延長線上に、日本国憲法第九条を守る会の発起人としての活躍は、私の心の支えとなっておりましたから。その直後に、劇団民芸の中心的メンバーである、奈良岡朋子さんもお亡くなりになってしまいました。劇団民芸は、滝沢修、宇野重吉等新劇界をリードし続け、平和を志向する演劇集団でしたから、学生時代からずっと応援し、時には鑑賞しておりましたので、残念の極みです。

様々な人との出会いは、生きる喜びであり、生きていく上での糧でもあります。さらに、その出会いの中で、将来に向けての思考が同一であると感じられた時こそ、心に震えを覚える時であり、生きている喜びと感動を共有でき、勇気、湧出しますから。

先週、こちらも四年ぶりに、大学の後輩から映画鑑賞推薦のお手紙を頂いたのを機に、映画を鑑賞する機会に恵まれました。「丘の上の本屋さん」(イタリア映画)物語は、老人が経営する古書店で繰り広げられる、淡々としたストーリー。ある日古書店に、小学校中学年くらいの少年が、訪れます。彼は、貧しい移民の子。本を買うことは勿論借りることも出来ません。そこで主人公の老人は、必ず丁寧に読み、読み終えたら返すことを約束して、コミック本を、手渡しします。主は、彼の成長に合わせ、イソップ物語、ロビンソン・クルーソー、ハックスベリーの冒険、星の王子様などを次々に貸し与え、成長していきます。 死を予感した主人は、「これは大切な本だから、大事にしてください。あなたにくれてやります。」と手渡します。

この最後に与えた本、どんな本だったと思われますか。私にも、想像がつきませんでした。この本こそが、映画を通して、鑑賞するものに、監督が訴えたかったテーマだったのでしょう。
「人は、自由、かつ、権利において、平等なものとして生まれ、生存する。社会的差別は、協同の利益に基づくものでなければ、設けられない。」 と、第一条に述べられている、フランス人権宣言でした。

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現代の入試はコミュニケーション能力を問われる時代です。能力創造の対策としては、まずは文系教科書の理解が最重要課題となります。特に、国語の教科書の音読並びに英語の教科書の流暢な音読無くして、入試学力の向上は望めません。さらに、数学の計算練習は必須の課題です。計算が早く正確にできなくては、応用問題も解くことができませんから。

ご意見等がございましたら、直接あるいは、連絡ノート等を通じてお寄せ頂けましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。 (文責保坂一壽)画像は人権宣言表紙扉