カルチュア通信118号

葉桜の季節となりました。
葉桜という言葉を耳にする時、思わず「握手」の冒頭分を思い出すのが常です。(桜の花はとうに散って、葉桜にはまがあって…本文引用)

中学三年生の国語教科書に、井上ひさしさんの短編小説「握手」があります。数多くの戯曲を残して十年ほど前に世を去りましたが、直接的な言葉を嫌うかのように、文章の奥底に、反戦、平和〈争いの無い世界〉の思いが、ほのぼのとした言葉の端々を通して、読む人の心の内に、静かに伝えております。この握手も、カナダ人神父の体験を通じて、日本人の戦勝国に対する負い目に躊躇することなく、神父が運営する、「天子園」という名の孤児院での心温まる交流物語です。神父の誠実な生き方に共鳴する読者に、思わず争う事のむなしさと平和の尊さを、読む人に訴えております。

進学・進級を無事に過ごした生徒さん達が、塾を訪問してくれております。ピカピカの制服に身を包んだ高校生、つい先日までの中学生とは思えないほど立派になっていることに、喜びを隠し得ません。学校生活に慣れ親しんでいるようで、発する言葉から垣間見ることが出来ます。さらに、大学に進級した皆さんからは、「大学での意欲的学習活動を積極的に進めたい。」さらには、「yaruzo」という言葉に接することが出来、将来の夢と希望に満ちた人生が約束されているように感じられました。

新学期が開始されほっとしたのも束の間、ゴールデンウィーク明けには、早くも各中学校で、一学期の中間テストが日程に上がってきております。中学三年生にとっては、来春の入試に向けての大切なテストの開始です。予め、三月の十日に中学三年生向けの保護者会並びに生徒を含めての入試説明会を実施して、定期テストの重要性並びに、内申点の算出法等につき説明済みでありますので、先週あたりからは、毎日数名の生徒さんが、四時過ぎから自習に見えられており、その意気込みに圧倒される日々です。取り敢えず、五月三日、四日、五日はお休みとさせて頂きますが、その他の日は、土日講習を含めて、生徒さんの学習活動を積極的にサポートしてまいります。日程等は、別紙の講習案内をご覧ください。

さて、世界はめまぐるしく変化しており、グローバルという言葉を、日々実感させられる日々です。アフリカスーダンで、内戦が勃発し、首都ハルツームにある国際空港も閉鎖されているとのこと。国際空港と呼ばれているからには、世界中の国々からの航空機が、管制塔を通じて離着陸の許可のもとに自由に行き交う事が前提条件としてあるはずです。その前提が崩壊し、各国が競って外交官はもとより民間人の保護救出活動に、国の威信をかけて展開しております。日本人の救出活動が首尾よくいくことを願わざるを得ません。自衛隊の輸送機が隣国に到着したとのこと。内戦状態の両軍が、三日間の停戦に合意したとのこと。この期間を逃しての救出は困難となること間違いありませんから。(邦人の救出は達成との知らせ)

スーダンという国は、あまり馴染みの無い国ですが、地下資源が豊富にある、ナイル川源流地帯の国だそうです。特に金鉱石が豊富にあり、その採掘権等をめぐって、軍内部が二派(政府軍とRSF)に分かれて争いを深めているとのこと。特に、紅海に面したポートスーダンに、ロシア政府が軍事基地を置こうとしていることには、驚かされました。かって、ヨーロッパ諸国が競って植民地化した、アフリカの大地、近年は、中国およびロシアが、アラビア半島を含めて、影響力を強めようとしていることに、危惧しております。

先号でも書きましたが、新劇界の雄民芸に所属する,奈良岡智子さんが亡くなりました。私が驚いたのは、演歌界の女王「石川さゆり」さんが、ホームページに追悼文を寄せていたことです。新劇俳優と演歌歌手との交流など、非常にまれと私は考えておりましたから。お二人の間には、平和を志向する共通認識があったことに、感激を覚えました。

さらに、ここ数年、その発言に気をかけている人がおります。現在多摩大学の学長でおられる、寺島実郎氏であります。テレビの日曜番組をはじめとして、岩波書店の雑誌「世界」など幅広く言論活動を行っております。

TV版の中での発言、岸田総理はなぜインドからウクライナを電撃訪問した際、その足でロシアを訪問しなかったのかという疑問を発していたことに、大いに賛同を覚えたからであります。平和憲法を掲げる日本だからこそ、出来ることが山ほどあるのではないでしょうか。

新ホームページ誕生 http://sudo2.com/tateishi/是非一度開いてください。そして感想をお寄せください。新中学一年生、初めての定期テスト。ぜひ頑張って将来に希望を持てる結果を。コミュニケーション能力を向上させるため、国語・英語の音読を実行してください。

ご意見等がございましたら、直接あるいは、連絡ノート等を通じてお寄せ頂けましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。 (文責保坂一壽)画像は卒業生有志の集いと黒部五郎岳